TJ3Bのセンサー用スレーブ基板の自作

TJ3BまたはTJ3B-COREは1台ではセンサーを10個までしかつなぐことはできません。
拡張したい場合は、TJ3Bを2台連結して、1台めをマスター、2台めをスレーブ、つまりセンサーの値を取得する専用のサブマイコン、とすれば、10個以上のセンサーを扱うことができるようになります。
このやり方はダイセン電子工業の公式のマニュアルに載っていると思います。

中級者以上で、初めに買ったTJ3B本体と、追加でTJ3B-COREを買っていれば、2台ですぐに試すことができます。しかし、いざロボットに搭載しようとすると問題が起きます。
せっかくTJ3B-COREにあわせて作ったロボットに、電池ボックスまで搭載されたTJ3Bをのせるのは大きくてかさばりますから、ロボットの形状がうまくまとまらなくなってしまいます。

そこで、本題です。
TJ3Bマニュアルの回路図を参考にしてTJ3Bセンサー用の自作基板を作成し、TJ3Bのマイコンを移植して使っているチームをみたことがありました。

郡上ロボットクラブでも、そのアイデアをメンバーが挑戦して作成してくれたので紹介します。
今回できた基板はこちら。

横7cm、縦5cmに収まるコンパクトサイズ。I2Cからの電源で駆動するため電源回路も不要。センサーは8ポート接続できます。(なぜ10ポートにしなかったのかはスペースとそれぐらいで十分だったからとのこと。もちろんセンサー10ポートにしても動くはずです。)
部品は、ICソケットと、抵抗が100kΩ8個、10kΩ2個とあとはI2C用4pinソケット、センサー用3pinソケットです。

電源や、モータードライバ、昇圧回路などはすべて省略できるため回路もかなりシンプルです。

基板の設計はKiCadというフリーソフトで行い、FusionPCBに発注、発送オプションで到着便を早くして1,500円ぐらいでした。

KiCad https://kicad-pcb.org/
FusionPCB https://www.fusionpcb.jp/


クラブとしては、回路図を読み解く際のいつくか疑問に答えたことと、KiCadの最初の使いかた、FusionPCBで発注を間違えないようにサポートしました。回路設計については聞かれなかった部分はまったく手出ししませんでした。あとは自力で作成できていたようです。

難関は、回路図でつながなくていい部分かそうでないかの判断と、KiCadの使いかたでしょうか。回路図のほうはマイコンの足で5V、GND、I2Cと、センサーの部分だけをつなぎます。それ以外はつながなくて大丈夫です。

※スタートボタン(RA4)とリセット(MCLR)をつながないと不安定なことがあるようです。どちらも普段はHIGHでボタンが押されるとLOW(GND)になるようになっているので、それぞれのピンに5Vと10kオームの抵抗でつないでおくと安定します。ついでにパワーLEDをつないでおくと起動しているかどうかが点滅でわかるのでお勧めです。

そして、発注した回路がいよいよ届き、試してみるとやはり動かないと。

そこで改めて設計データを見直してみると、マイコンの足の配線のミスが3か所あったみたいです。
マイコンは足がたくさんあるから、気を付けないと大人でも間違えます。


結局こんな感じになって何とか動いたようです。見えないですが、基板の配線も4箇所切断しています。
本人にとって初の基板の外注なので、これで済めばミスも許容範囲かと思います。量産する部品でもないのでなんとかなるでしょう。

これはかなり実用的で、基板発注の練習にもなるので、できる人はぜひチャレンジしてみてもらいたいです。もちろん、センサーを増やす目的ならArduinoなどに移行するのも有効な手段のひとつですので、あくまで手段の一つとして参考にしてください。

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